アマチュア無線の国家資格に合格し免許証も届いた。さて次は開局申請を行ってコールサインを手に入れます。(開局の方法については、こちらをご覧ください。)コールサインを手に入れるためには、先に無線機を購入しなければなりませんが、どの周波数帯からはじめようかと目標がない場合、ハンディー機で利用できる周波数帯からスタートすることをお勧めします。
アマチュア無線でも入門ともいわれている430MHz帯での通信。初心者はこの周波数帯から入るのが一番です。なぜこのバンドが初心者向けかと言うと、以下のような理由からです。
- ハンディー機で利用できる周波数帯である。
- 設備に費用があまりかからない。
- 430MHz帯は極超短波と言われ、見通し距離を飛ぶ電波である。
という理由からです。具体的にどういうことなのか?ここではその理由と実際にどのようにして運用するかをご紹介します。
ハンディー機は価格も安く、手軽に始められる!
当サイトで紹介する事例の殆どがハンディー機を中心にしたものです。それはアウトドアや日常的に使うとしても、ハンディー機のように持ち運びができるものであれば用途が広がるからです。キャンプやハイキング、登山、スキーなどアウトドアでの連絡手段としても最適です。ハンディー機は価格も安く、ホイップアンテナと呼ばれる短いアンテナだけで電波を飛ばせるため大規模な設備もいりません。
あまり遠くまで飛ばないというのも初心者に良い。
アマチュア無線のハンディー機は5W程度しか出せないものの、ハンディー機で使える430MHz帯や144MHz帯という周波数帯では条件がそろうと数百キロメートル飛ばすことができます。現実的に街中などで利用している場合、ビルや住宅などに囲まれた中では、数キロから数十キロメートル程度しか電波が飛ばなくなったりもします。これくらいしか飛ばないというのも初心者にとっては安心です。海外など遠くまで飛ぶような電波を利用していると、自分が意図していないエリアの人たちと話をしなければなりません。まずは近くのエリアの人と話をしてみましょう。
実際にはどのようにして運用するか?
まずは、他の人達がどのように話しているのか、430MHz帯のハンディー機でダイヤルを回して誰かが話している周波数を見つけて聞いてみましょう。まずは430MHzの「呼び出し周波数」と呼ばれる、いわゆるみんなが集まる場所に合わせてみましょう。
呼び出し周波数は433.000です。ハンディ機のダイヤルを回してこの周波数にセットして聞いてみましょう。土日は利用者も多く、CQを出して不特定の人と話している人も多くいます。
CQは「だれか私と話しましょう!」という意味。
CQ,CQ,CQと「CQ」を発している人がいたら、これは「だれか私と話しませんか?」という意味ですから、気軽に話しかけてみましょう。
ではどのように話しかけるか?実際の会話の例を以下に並べてみます。
相手局:「CQ、CQ、CQこちらはJ×1×××です。次回433.280で再度コールします。」
―――周波数を433.280にあわせます。
相手局:「CQ、CQ、CQこちらはJ×1×××です。どなたかいらっしゃいましたらQSOお願いします。」
―――※QSOとは交信するという意味です。
自分 :「J×1×××こちらはJ×2×××です。どうぞ」
相手局:「J×2×××さん、こんにちは、こちらはJ×1×××です。よろしくおねがいします。」
といった形で会話が始まります。相手のコールサインは最初はメモを取るなどして忘れないようにしましょう。
交信(QSO)が始まったらまずは自己紹介
だれか知らない人と話をするときにはマナーとして、まずは自己紹介を行います。その後今自分がどこから電波を出しているかを伝え、どれくらいの感度で受信しているかなどを相手に伝えます。最低限相手に伝えるべきことは以下の4項目です。
- 自分のコールサイン
- 自分の名前
- 自分が今いる場所
- RSレポート(電波の感度)
通話中、自分が話す際には、必ず「相手のコールサイン」を言って、続けて「こちらは」といった後に自分のコールサインを言います。
いつも「最初に相手のコールサインを言うんだ!」と覚えましょう!
RSレポートの送り方
RSレポートは、電波がどれくらいの感度で届いているかを相手に伝えるレポートです。Rは「Readability」といい了解度を示し、自分の感覚で1~5段階で相手にどれくらいの感度で了解しているかを伝えます。
Sは「Signal strength」で信号強度を表していて、これはSメータを読みます。メーターは、相手が話しているときに無線機の周波数が表示されているすぐ下にバーの状態で表示されています。
ここでは、とてもクリアに聞こえた場合で、しかもSメーターが9の場合は相手に「RSレポートは59(ファイブ・ナイン)です。とっても良好です!」などと話します。
このほかにQSLカードと呼ばれる交信した記念に交換するポストカードのようなものもありますが、これらは特に交換が義務付けられているものではありません。ですので、聞かれて持っていなければ「持っていません」と答えればよいでしょう。
交信が終わるとき
情報交換などを終えて交信を終わるときには感謝の意を表しましょう。またアマチュア無線の習慣で、男性との交信が終了するときには「73(セブンティスリー)」と言ったりします。女性に対しては「88(エイティエイト)」といいます。これは手紙などの最後に書くBest Regardのようなものです。習慣ですので、無理に言う必要はありません、交信の終了に相手に対する敬意を表するのはとても大事ですので「本日はありがとうございました」とお礼が言えればよいです。
アマチュア無線を使っている人たちは国家資格を取得後、初めて電波を出す時の緊張を知っています。まちがっても大丈夫!初心者だという事を明かして気軽に応答してみましょう。
初心者が購入すべきハンディ機は?
よく聞かれるのが「どんな機種が良いですか?」という質問です。ハンディ機にも様々な種類があります。初心者の人が思いがちなのが「初心者だから安いのでいい」という判断ですが、これは大きな間違えです。”やってみよう”と思ったのですから、できるかぎり使っていける機器を選ぶべきです。
初心者が選ぶべきハンディ機に必要な機能
- 144MHz(VHF)、430MHz(UHF)の2つの周波数帯が利用できる
- ラジオやエアバンド、そのほか広範囲に電波が受信できる
- GPSが内蔵されている。
①と②は必須です。特に②については、とても重要で、アマチュア無線とは関係のない部分になりますが、やはり電波は受信して情報を取り入れるという利用が基本中の基本です。アマチュア無線をやるための目的だけにハンディ機を管理するのはちょっともったいないです。災害時の利用に備える意味でも、AMやFMのラジオ、防災無線などが受信できるものはとても便利です。また、航空無線や鉄道無線、家庭用通信機やIoT機器などにも利用されている電波などが受信できると「聞く」というだけの用途でも楽しめます。
常にアマチュア無線で会話するためだけでなく、このように情報端末としても利用できるようになっていることで電波の利用が広がります。
③については必須ではありませんが、実は①、②を搭載しているようなハンディ機は業界でも数がすくなく、GPSが搭載されている場合が多いです。GPSが搭載されているとおそらくデジタル通信にも対応した機器にもなっているとおもいます。
以下、初心者へのおすすめ機種になります。