RCカーのすすめ! -楽しみながら学ぶ!
1980年代にブームが起こったラジコンカー。TAMIYA(タミヤ)やKYOSHO(京商)といったメーカーから様々な車種が販売されて大人から子供まで多くの人がキットを購入して組み立て、改良しその速さを競っていました。現在でも沢山の人たちがRCカーを楽しんでいますが、昔から比べて子どもの参加が少なくなっています。スマートフォンや家庭用ゲーム機の普及により、子どもたちの遊びはいつしか手軽に遊べるものが主流となってしまったようです。
時代は流れ、今自動車業界ではEV、いわゆる電気自動車が主流になろうとしています。電気自動車は、電池とモーターで動きます。これはラジコンカーの仕組みと一緒です。つまり、実車の自動車がラジコンカーの仕組みに近づいてきたという事になります。
大きく分けて2種類ある「本物」と「おもちゃ」
ラジコンカーというと、子供向けのおもちゃという印象が強い人が多いようですが、実は全く違います。
ラジコンカーには大きく分けると2種類あると思ってください。1つは本当の意味でのラジコンカーで、模型として自分で組み立てその構造を理解し、より精度の高いコントロールができる本当の意味でのラジコンカーです。もう1つは、店頭などで完成品として売られているおもちゃとしてのラジコンカー、いわゆる「トイラジ」と呼ばれるものです。
組み立てる本物志向のラジコンの特徴
私たちオンエアーズがおすすめしたいラジコンはこちらのものです。理由は後述しますが、まずはその特徴を説明します。
基本的に組み立てキットになっていて、自分で組み立てます。基本的には大人向けの想定ですが、小学校高学年くらいでプラモデルなどの経験があれば一人でも作れます。スケールも実車の1/10と大きくスピードも速く、基本的には屋外専用です。
おもちゃのラジコンとの大きな違いは、コントロールが非常に細かく効くため、スロットの微調整で本物の車のような操縦感で操作ができます。また、チューンナップのためのパーツも沢山発売されているため、自分の車をどんどん改良していけます。本物の車いじりにかなりそっくりで、子どものうちから触れる事で自動車の構造がしっかり理解できます。
メーカーとしては、模型メーカーであるTAMIYA(タミヤ)やKYOSHO(京商)などが多数商品をリリースしていて、他にもYOKOMO(ヨコモ)や川田模型などがあります。これらメーカーのモデルは本格的なもので、シャーシから自分ですべて組み上げていくタイプのものになります。
トイラジ(おもちゃとしてのラジコン)の特徴
こちらはおもちゃ屋などの店頭に並んでいる完成品のものです。トイラジにもランクが様々ありますが、どれも完成品で簡素な造りになっているものがほとんどです。主な特徴として基本的に分解したりできないようになっており、パーツのアップグレードなどもできません。また低価格のものになると、コントロールがスロットルではなくボタンのものがほとんどで、速度の調整やハンドルを曲げる角度の調整ができずに、ONかOFFかだけのボタンになるので、自在なコントロールができるとは言えません。本体も小さく、完全な子供向けとなります。
下の写真がトイラジの例で、プロポ(コントローラー)を分解してみると前後の操作もボタンだけという事になります。ゲーム機のように押している時間でだんだん早くなってくるというものでもありません。
トイラジは子どもが遊ぶおもちゃとして作られていて、かつ基本的には室内用のものが多くなっています。もちろん外用で防水性能があったり、スロットルで速度をコントロールできるものもありますが、やはり分解してアップグレードしたりすることができず、子どもたちもやがて使わなくなってしまいます。
RCカーは自分でコントロールして楽しむだけでなく、自分でメンテナンスやチューンアップすることでより良い自分だけの車を作るというところにも楽しみがあります。私たちは前者の組み立て式のRCカーを楽しむことでより多くの経験をしてもらいたいと考えています。
子どもの教育と趣味にラジコンカーがおすすめの理由
組み立てる事が重要。作ったものは直せる。
ラジコンカーの構造はもはや実車よりも優れている部分も多くあるくらいです。ラジコンカーは基本自分で組み立てて完成させます。これを組み立てる事で自動車の基本構造やモーターや電気の仕組み、使われている部品やそれらを加工していくための工具の使い方などモノづくりの基礎を学べます。
ラジコンカーを組み立てるのは、自分で組み上げたものは構造を理解しているため、改良する場合の分解方法や壊れたときの修理も自分で出来るという事になります。
摩耗したタイヤを交換したり、車高をあげたり、サスペンションの硬さを路面に合わせて変えたりと微調整をしていく事で車の走りがどんどん良くなっていきます。自分が手を加えていく事でどんどん性能が上がっていくのを見るのは楽しいものです。
そしてなにより、子どもが自分で作ったものですから愛着がわき、長く大切に利用していきます。
新しい時代に向けた更なる改良も可能!
タミヤや京商など有名メーカーのラジコンならシャーシの種類も豊富で、かつそれぞれシャーシごとにも改造パーツが沢山リリースされています。純正だけでなく、サードパーティーのものも多いため自分の走りに合わせた改良が楽しめます。車の走りやドレスアップだけでなく、今の時代に合わせた改良も楽しめます。
FPVカメラを搭載して、実車を運転している気分で操縦!
近年ドローンなどで注目を浴びているFPVカメラ。超小型のカメラをラジコンカーに搭載し、カメラ映像が映るゴーグルをすることで実際の車を運転しているような感覚で車を走らせることができます。カメラとゴーグル(以下写真)も低価格なものが用意されているので、とても良いのですが、このFPVカメラを利用するには日本国内ではアマチュア無線技士の国家資格が必要です。この資格は小学生でも取得できる簡単な国家資格ですので、ラジコンを始める事によってこれらの資格取得という新しい目標もできるわけです。(※詳しい取得の仕方は当サイトの「よくわかるアマチュア無線の始め方」をご覧ください。)
FPVは乗っている感覚で操縦できるわけですから、遠く見えないところまで車が行ってしまっても、プロポと映像の電波の届く範囲であれば操作が可能になります。
AIによる自動操縦へ
実際の自動車は電気自動車化が進み、センサーやカメラでの空間認識が向上し、自動運転の時代がやってきました。これらをRCカーを使って実現することで、レースだけの楽しみでなく、コンピュータを搭載した新しい時代のIoTとしてのラジコンカーの活用などの学習にもつながります。小型コンピュータとして日本でも話題になっている「ラズベリーパイ」などをラジコンカーに搭載し、AIを搭載することで、空間認識を行う自動運転車両を構築することも夢ではありません!(下の写真はラズベリーパイを搭載するためのボードを自作し、その上にマイコンボードを搭載したワーゲンバス)
このように自作キットでのRCカーはAIのプログラミングの必要性があったり、国家資格を受ける理由付けにもなったりと、学びがいっぱいです。AIを利用するためにはさらに様々な知識のひつようせいにもかられ、かつ自動車としての安全性能なども考えていく事になります。
自動車産業というのは世界中をみても大きな産業の1つです。車に関係する産業も沢山ある事を子どものうちから知る事ににもなります。
さあ今すぐはじめよう!~RCカーを始めるにはどうするか?
RCカーを始めるときによく聞かれるのが、何を揃えたらいいのか?という事です。小学生以下のお子様が始める場合、最初は保護者と一緒になった作ることをおすすめします。特にプラモデルなどもあまり作った事がない場合は工具の使い方や説明書の読み方も分からないでしょう。最近では100円ショップなどでも安い工具が買えますから、子ども専用の工具と工具箱も買ってあげてほしいです。(※ただしニッパーなどの仕上がりに影響するような工具はできればホームセンターなどでしっかりしたものを購入したいものです。)
RCカーを始めるのに必要なものは以下のものです。
- 工具一式(ニッパー・はさみ・カッター・+-大小ドライバーセット)
- ラジコンキット本体
- プロポ(サーボ・受信機)
- 電池・充電器
③と④については最初はセットになっているものがあるので、そのセットを購入することをおすすめします。
では必要なものを細かく見ていきましょう。
ラジコンカーを始めるのに必要なモノ
1、工具類
工具類としては、以下の7点が必要です。すべてがセットになっている工具セットなどもあります。最近では100円ショップなどでも工具がそろうため、それでも良いですが、ニッパーなどはよく使うもので、特にプラスチックをカットした際の仕上がりに差が出る場合があるので、ホームセンターや通販などで少し良いものを買っておいた方が良いでしょう。
2、ラジコンキット本体
ラジコンキット本体はどんなものを購入すればよいかというとこれはその人の好みでいろいろとあります。どこでも走りたいのならバギーやラリーカーを選択しますし、基本アスファルトの上を走る場合はツーリングカーや実車に近い乗用車シリーズなどが良いかもしれません。
それらの中でも「シャーシ」と呼ばれる本体のベースになる部分がいろいろあるのですが、今回は初心者が最初に購入するのに適している安価で制作のしやすいタミヤ社の「TT-02」シリーズと、どこでも走れるバギーシリーズをご紹介します。
▼TT-02シリーズ
▼バギーシリーズ
3、プロポ(コントローラー・受信機・サーボ)
4、電池・充電器
この3番、4番はタミヤからお得なセットが出ています。タミヤ(TAMIYA) RCシステムシリーズ No.53 ファインスペック 2.4G 電動RCドライブセットです。本体とこのセットさえあれば準備完了です。
4番の電池・充電器については、タミヤ純正のものも1つは持っていたいのですが、純正のものは電池容量がとても少ないため走行時間が非常に短くなっています。できれば急速充電器とより容量の大きいバッテリーも持っておくと良いでしょう。ここで紹介しているYOKOMO社の充電器は非常に急速充電で、充電時間の短縮が可能です。また、紹介しているバッテリーも従来の3倍以上の長持ちです。
以上、ラジコンを始めるのに必要な、工具、キット本体、プロポセット(+αで急速充電器と予備バッテリー)があれば、あとは制作し、色塗りをしてすぐにラジコンカーを走らせることができます。
先に紹介したヤリスやインプレッサのようなラリーカーならオンロードをたのしみつつ、車高を変えてオフロードで走らせることも可能です。標準装備のラジアルタイヤからラリー仕様のタイヤを購入してより走りやすくするなど、完成後にもとてもいじり甲斐があります。是非チャレンジしてください!