今年は「私をスキーに連れてって」公開から30周年。JRも国鉄時代から民営化されて30周年という事で、今年のJR、SKISKIのCMは同映画のパロディが使われています。
さらに、ポスターは7種類。原田知世が演じる池上優と、三上博史が演じる矢野文男がJRのポスターになります。近年スキー人口の減少が叫ばれています。こういったレジャーに出かけない人が増えると、スキー業界だけでなく自動車業界、関連するウェアやスポーツメーカー、宿泊施設など多くの産業の衰退の原因になります。バブル期の元気な時代、この映画に触発されてスキーに出かけた人たちは多くいるのではないでしょうか。
「私スキ」は若者の憧れだった!
高度成長期も後半、就職も売り手市場で会社に入ればぐんぐん給与も上がり余暇を楽しむ余裕を持つ若者が増えたこの時代、自動車も売れ、買った車でレジャーを楽しみに出かけるといった風潮が増える中、若者の憧れの生活を描いたのが「私をスキーに連れてって」でした。
四駆のセリカにのり、週末はスキー場のロッジを予約して都内から友人らとスキーにでかける映像は多くの世代に影響をあたえました。スキーに行かないときには「ゼファーイン」というレストラン・バーに集まりスキーの予定を立て、週末はスキー三昧。スキーに行くまでの雪道ではマイカーで爆走。ストップウォッチをブル下げて「凍ってるね」と真似をした人は少なくないでしょう。
また携帯電話がない時代、ゲレンデではアマチュア無線を使ってよくわからないアルファベットの羅列を話しながら友人と連絡を取り合うシーンは、アマチュア無線を知らない人たちにとって驚きのシーンだったに違いありません。おもちゃのトランシーバーではゲレンデの上の方とレストハウスの中で連絡が取りあうことができるわけもありません。
随所に出てくる無線のシーン
この映画冒頭のスキー場に出かけるシーンから無線にかかわる映像が沢山出てきます。主人公の矢野文男が愛車スターレットでスキー場に向かうシーンで、車載用のアンテナをマグネットで張り付けて車庫から出ていきます。その後ロッジに着く直前で友人に連絡を取るシーンなどもあります。
ゲレンデから、レストハウスにいる友人と連絡を取ってレストランのメニューを聞いて先に注文しておくというシーンも有名なシーンです。
滑走中には襟元にハンドマイク、腰にはハンディ機本体を付けているシーンもあります。志賀万座ツアーコースを行くシーンでは、コースを外れビバークしようとしていた主人公らを追いかけてきた友人が連絡をとっていました。周波数を決めていたのでしょうが、近年バックカントリースキーの人気が高まる中、このようなシーンは現在のスキーに1つの提案を投げかけるものにもなっています。
使われていたコールサイン
冒頭、故沖田浩之が演じる「小杉正男」のコールサインJO1MHNを矢野文男がJM1OTQで呼ぶというシーンがあり、ここでこの2人のコールサインがわかります。
原田貴和子が演じる佐藤真理子については劇中で「MHNPVDから、席確保したよ」といっています。当時私たちのスタッフの中では小杉正雄がJO1MHNだから、おなじJO1だからその部分を略しているのでJO1PVDに違いないという憶測を呼んでいましたが、どうかは不明。実際にCQ誌についてきたコールサインの一覧が掲載されていたハンドブックにも見当たらなかった。
また、布施博演じる「泉和彦」がツアーコースで道に迷う矢野文男を追っていった際にJH1TURといっていたため、泉のコールサインもわかります。
まとめると、
- 矢野文男 JM1OTQ
- 小杉正明 JO1MHN
- 泉和彦 JH1TUR
- 佐藤真理子 JO1PVD(未確認)
ちなみに、矢野、小杉、泉が使っていた3つのコールサインはすべてホイチョイプロダクションの人のもののようです。
使われていた無線機
劇中で使われていた無線機はハンディ機とセリカGT-FOURに搭載されていた車載機がありました。
メーカーはICOMで、車載機が144MHzのIC-28という機種で、ハンディトランシーバーがIC-μ2ということです。